本記事では、2022年7月の為替市況について解説いたします。
かんたんな文章ではございますが、毎週の為替状況をまとめておりますので是非ご参考下さいませ。
またFXで良くあるテクニカル的な分析ではなく、ファンダメンタルズ(経済/金融の流れ)中心の見解となります。
目次
2022年8月1日
2022年7月25日〜7月29日の重要局面をまとめました。
①ユーロ売り
- ノルドストリーム1の停止
- タービン1台を追加的に停止させる為、欧州へのガス供給量が20%減少
- 天然ガス価格が高騰
- 欧州のエネルギー不安から欧州経済の停滞が懸念
②ドル売り
- FOMC&パウエルFRB議長の発言
- 結果:75bp利上げ(250bp)
- 一時ドル円は急騰
- しかしパウエルFRB議長のハト派発言にて急落
③ドル売り
- 米国債の逆イールド拡大
- 長期金利より短期金利が利回りを上回る
- リセッションの兆候
④ドル売り
- GDP2四半期連続マイナス
- FRBの引締め減速を連想
- 米長期金利も急落
- 米株価指数の急騰
⑤株価指数買い
- FRBの引締め減速連想からの影響
- S&P500:月間の上昇幅はコロナショック後の2020年11月以来の大幅高
- 米企業の決算良し
⑥ユーロ買い
- 月末リバランス要因
- FRBの影響もあり月末リバランスでドル売り
- ユーロドルはロンドンフィキシングで買い戻しが入る
■為替
先週の為替市場ですが、前半はFOMCの結果発表待ちにて様子見の相場が続いた。
そして後半では、水曜日FOMCの発表にて2会合連続の75bpの利上げをした。
今年に入って250bpの利上げになっているがこの水準がかなり高い。
2008年以降で言えば今が一番高い金利になります。
だが、パウエルFRB議長のハト派発言が以下。
- いずれ利上げペースを落とすのが適切となる可能性が高い
- 次回以降の利上げについてはデータ次第
今後の利上げペースについて、はっきりとした数字が残せないのはマーケット的にはマイナスな印象になる。
そして利上げペースを落とす事を示唆した為、FRBの引締め減速を連想させる流れができ、パウエル氏の発言後に大幅にドルが売られた。
そして上記の高い水準の利上げが続いて「米国債の逆イールドがさらに拡大」している。
※逆イールドとは、米長短金利において償還までの期間が短い債券の利回りが期間の長い債券の利回りを上回る状態になること。通常は償還までの期間が長い債券の利回りの方が高くなり右肩上がりになるのですが、それが逆の現象になっている。
これはどのような兆候かというと、「リセッション→景気後退の予兆」とマーケットでは捉えられています。
米国の景気後退は1980年以降で7回と言われています。
そして景気後退前に逆イールドが発生し、7回中5回は1年半後にリセッションに入っているデータがある。
2008年のリーマンショック時もそのような兆候が見られていた。
「米国債の逆イールドが更に拡大」報道に関して、マーケットが敏感に反応しドルは売られた。
追い討ちをかけるようにGDPが2四半期連続でマイナスとなり、さらに大幅にドルは売られる事となる。
ただ、米個人消費支出などの数字により金曜日には買い戻しがありましたが、それは限定的に終わり、引き続き「FRBの引締め減速」が尾を引く形になってしまい、ドル円に関しては引け間際でも売られていた状況。
米株価指数に関して、
米企業の決算が次々と発表されているが、数字が良いということもありますし、「FRBの引締め減速」が意識され、大幅な買い戻しが起きている状態。
ユーロに関しては、
天然ガスとインフレにかなり振り回されている。
それは引き続き変わらないので厳しい状況か。。。
ドイツのIFO経済研究所が発表した、「インフレピークアウト」の報道もありで大幅に下落することになる。
本日から8月を迎えます。
1週目は米国の重要指標がある週になります。
アメリカ(米ドル)の動向が気になりますが、トレーディングチーム的には押し目の判断をしています。
先週の高値より5円(500pips)急落しているので、取引をしているトレーダーの心理としては『買うことが怖い水準』に到達していると思っています。
ただもう1~2段ほど深押ししてくれた所が絶好の買い場になる可能性もある為、しっかり分析をしていきます。
2022年7月25日
2022年7月18日〜7月22日の重要局面をまとめました。
①ユーロ買い
- ノルドストリーム1の再開
- ロシア-欧州を結ぶ天然ガスパイプラインが点検にて一時停止
- 一部ロシア側が再開しないのでは?と言う懸念があった
②円売り
- 日銀政策金利
- 結果:据え置き
- 引き続き「金融緩和継続」
- 金利引き上げに関して全く考えず
③ユーロ買い
- ECB政策金利
- 結果:50bpの利上げ
- 約11年ぶりのマイナス金利からの脱却
④ユーロ売り
- ラガルドECB総裁発言
- 「利上げを加速するが中立金利の数値は変更しない」発言
- 「TPI(Transmission Protection Instrument)」を導入発言
- 利上げをしたが、事実上EU圏内の債権購入継続と言うことは、緩和策を継続としてマーケットが捉える
⑤ドル売り
- 米指標の数字悪化
- フィラデルフィア連銀景況指数:予想1.7 結果-12.3
- 新規失業保険申請件数:予想23.9万件 結果25.1万件
- 景気先行指数:予想-0.5% 結果-0.8%
⑥ドル売り
- バイデン大統領がコロナ陽性
- 症状は軽いので下げも限定的
⑦ドル売り
- 米PMI速報値
- 米総合PMI速報値:予想52.4 結果47.5
- サービス部門PMI速報値:予想52.6 結果47.0
- 米長期金利が大幅下落によりドル円が一時135円台に突入
■為替
先週の為替市場ですが、前半は日銀・ECB政策金利にて様子見の相場が続いた。
そして先週のメインイベントとなる政策金利が発表されると同時に相場は動き出した。
日銀の「緩和継続」に関してはマーケットは既に予想通りの反応を見せ、ドルが買われる状況になりました。
そしてECB政策金利の発表にてまさかの「50bp」の利上げをする事で、市場は一時ユーロ買いに走ったがラガルドECB総裁のTPI導入発言にて大きく売られる展開に。
EUは色々な国の集合体なので、国々によって情勢が違います。
例えば直近で言えばイタリアのドラギ首相が辞任した事による経済不安もありますし、そもそもイタリアも含めスペインなど、南欧の多額の債務を抱える国もEUに加入しておりますので、そんな国が利上げをされるとかなり厳しい状態に追い込まれてしまいます。
ですので、ECBとしてなかなか利上げに踏み切れなかったのは上記のような背景もあります。
そこで金利が上昇することによる域内格差を是正する、新たな債券買い入れ措置である(TPI)の導入が決定したが、これをマーケットは「結局、債権を買い入れすると言うことは金融緩和策だ」と判断し、ユーロが大きく売られたと言う背景になります。
そして米ドルに関しては、米経済指標が軒並み悪く、大きくドルが売り込まれた。
一時135円台に売り込まれたが、引けは136円台で引けた状態。
今週はFOMCの週になるが、このまま75bpの利上げになるとサプライズが無しと言うことでドルが売られる可能性も考えられる。
100bpとなると話は変わってくるが、50bpだったらなおさらドルは大きく下落するのは間違いない。
FOMCまでは色々な思惑が交錯するので、水曜日まではレンジ局面に入る可能性もある。
しかし今会合で75bpの利上げをすると言うことは、合計250bpの利上げとなる。
この数字を考えると結局ドル一強は変わりないと思っているので、基本的にはドル買いになると思うが、瞬間的に大きく下落する事も予測できますので、そこを押し目として考えるのも悪くないと思っている。
今週はメインイベントを控えた週になるので、冷静な分析が必要な週になりそうです。
2022年7月18日
2022年7月11日〜7月15日の重要局面をまとめました。
①ドル買い
- 黒田総裁追加緩和
- 参院選自民党圧勝
②ユーロ売り
- ガスパイプライン点検による一時停止
③ドル売り
- 日米財務相会談→米側が「適切に協力」
④ドル買い(米CPIの結果により)
- 予想:8.8% / 結果:9.1%
- FOMCに向けて100bp利上げ期待
- 139円台到達
⑤ドル買いユーロドル
- パリティ割れ
⑥ドル売り(ウォラーFRB理事の発言により)
- 市場は100bp利上げに関して先走っている
- 現在は50bp-75bp
⑦ドル売り
- 米小売売上高→予想:0.9% / 結果:1.0%
- ミシガン大学消費者信頼感指数→予想:49.9 / 結果:51.1
- 長期のインフレ期待値は伸びが鈍化
■為替
週半ばのCPIの結果を受け100bpの利上げ期待から139円台へ。
後半はFRB関係者の熱を冷ます発言が続き75bpが正常値と判断。
ユーロドルに関してはパリティ割れをしたが結局は買い戻しが入る。
今週ECB政策金利がある為、そこまでは25bp利上げに対して織り込みにかかる可能性大。
今までとは逆の動きになる事も頭に入れ、押し目を狙いにいく。落ち着いた分析が必要。
2022年7月11日
2022年7月2日〜7月8日の重要局面をまとめました。
①ドル買い
- 米が対中関税を部分的解除報道
②全通貨売り
- 天然ガス高騰によりリセッション懸念
- 原油WTI100ドル割れる
③ドル買い
- ISM非製造業景況指数→予想:54.1 結果:55.3
- FOMC議事録→内容はタカ派
④ユーロ売り
- エネルギー不安
- ジョンソン首相が辞任
→政治的安定期待からポンド買い
⑤ドル買い(米雇用統計の結果により)
- 予想:26.4万
- 結果:37.2万人
■為替
安倍元首相が銃撃を受けお亡くなりになりました。
世界中で顔と名前が知れ渡っているのは安倍元首相ぐらいだっただけに失ってはいけない政治家を失った。
謹んでお悔やみを申し上げます。
先週はFOMC議事録や雇用統計など、米イベントが目白押しの週。
結果的にドル円は高値更新できず。
参院選の結果も「与党勝利」とマーケットの予想通り。
与党勝利で終わったのでこのまま金融政策の方針は継続。
ドル円に関しては140円などは射程圏内に入っている。
いつこの上昇が止まるかここがキーになりそう。
そしてユーロドルのパリティについても残り100pipsを割りましたので注視が必要です。
2022年7月4日
2022年6月27日〜7月1日の重要局面をまとめました。
①ユーロ売り
- スペイン:インフレ率10%
- 独:6月CPIが予想を下回る
ユーロドルは1.04400ドルに下抜けしました。
②ドル買い
- ECBフォーラム各中銀発言
- パウエル氏タカ派発言
ドル円は137円到達。(1998年9月以来およそ約24年ぶり)
③ドル売り
- 137円到達の達成感
- 米消費支出とPCEデフレーターが下回る
④米株価指数下落
- S&P500今年上半期 20%超えの下落
インフレ抑制を最優先の為、多少の株価下落は致し方ない
⑤米長期金利下落
- 3%を割り込む(2.78%)
- ISM製造業景気指数(予想:55.3→結果:53.0)
■為替
先週の為替相場は月末の独特な動きを見せました。
ECBフォーラムでは各中銀の発言が注目されていましたが、米国のインフレ撃退姿勢は揺るがず。
その中でもユーロはやりにくい状況。
ドイツはインフレ率鈍化らしき数字だがスペインは上昇。
7月ECBにて25bpの利上げを見込んでいるがPEPPの再投資なども柔軟化。
2022年7月21日のECB理事会に注目です。
上半期は戦争リスクという貴重な相場体験となりましたが、下半期も気を引き締めて相場を注視していきます。