本記事では、2022年8月の為替市況について解説いたします。
かんたんな文章ではございますが、毎週の為替状況をまとめておりますので是非ご参考下さいませ。
またFXで良くあるテクニカル的な分析ではなく、ファンダメンタルズ(経済/金融の流れ)中心の見解となります。
目次
2022年8月29日
2022年8月22日~8月26日の重要局面をまとめました。
ドル円:30分足表示
①ユーロ売り
- ノルドストリーム1の3日間(8/31-9/2)停止
- 欧州の天然ガス先物価格が20%の急騰
- 欧州の景気悪化懸念
- 再度パリティ割れ(1.00000)
②ドル売り
- 米経済指標の数字が悪化して2円弱下落
- 米製造業PMI 予想:52.0 結果:51.3(前回52.2)
- 米サービス業PMI 予想:49.2 結果:44.1(前回47.3)
- 新築住宅販売件数 予想:57.5万件 結果:51.1万件(前回58.5万件)
- リッチモンド連銀製造業指数 予想:-4 結果:-8(前回±0)
PMIはインフレ指標になりますので、2ヶ月連続悪い数字となると利上げ加速が鈍化するのではないかと市場は予想した。
③原油価格上昇
- サウジがOPECプラスによる減産を検討中報道
- 先週で10ドル弱上昇
- 需要、在庫の減少、供給ひっ迫という要素が合わさって価格が押し上げられる可能性
- 10月末で米戦略備蓄の放出が終了
④ドル買い
- 米経済指標の数字が良好
- 第2四半期GDP 予想:-0.7% 結果:-0.6%(前回-0.9%)
- 新規失業保険申請件数 予想:25.2万件 結果:25.2万件(前回24.5万件)
⑤ドル売り
- 米経済指標の数字が悪化
- 個人所得 予想:0.6% 結果:0.2%(前回0.7%)
- 個人支出 予想:0.4% 結果:0.1%(前回1.0%)
- PCEデフレーター 予想:6.4% 結果:6.3%(前回6.8%)
- PCEコア・デフレーター 予想:0.3% 結果:0.1%(前回0.6%)
⑥ドル買い
- 米経済指標の数字が良好
- ミシガン大学消費者信頼感指数 予想:55.1 結果:58.2(前回55.1)
⑦ユーロ買い
- ECBメンバーが75bpの利上げ議論一部報道
- 75bpの利上げ議論をするべきとECBメンバーが見解
- 短期金融市場では9月の75bp利上げの確率を50%織り込む
⑧米株価大幅下落
- ジャクソンホールにてパウエル氏発言
- インフレを抑え込むには家計や企業に何らかの痛みをもたらすことになる
- 物価の安定を取り戻すことに失敗すればもっと大きな痛みを伴う
- インフレを抑制する決意を改めて表明
■為替
先週の為替市場は、金曜日までジャクソンホール会議でのパウエル氏のタカ派発言に期待でしたので、ドル円は底堅い動きを見せていました。
米指標の数字が悪化しても、大きく買い戻しがあったりなどで結局2円幅のレンジを推移。
ユーロ|欧州
先週はユーロが急騰・急落をしている印象でした。
週前半は景気悪化懸念で大きく売られたりはしていましたが、金曜日には75bpの利上げ議論一部報道にて回復したと思えば、ジャクソンホールでのパウエル氏の発言にて米長期金利が上昇。
その勢いでドルが買われ、ユーロドル含めたドルストレートが急落。
ユーロの経済状況はかなり悪化している。
先週の週報でもお伝えした、
- エネルギー関係の枯渇問題
- 異常気象によるサプライチェーンの停滞
- 地政学リスク
など、過度なインフレが進んでいる状態。
何かしらの対策をしないといけないので、先週金曜日に通常の3倍にあたる「75bpの利上げ」をECB政策委員が議論を希望との報道。
だがかなり手遅れ感があるのも事実で、インフレに関しては多少の引き締めや利上げなどで回復できるレベルでは無い。
利上げ報道が出ると一時的には買い戻されるが、上昇した後に別の通貨の影響もあり上がり切らないのが現状。
為替は対通貨ペアの影響があるので、上記の見方はその視点から見たユーロにはなるが、欧州株価も下落しているので経済的には良くない状況なのは間違いない。
欧州経済は引き続き根底からの改善が必要だろう。
ジャクソンホール会議|週末
そして先週末は「ジャクソンホール会議」が開催。
26日はパウエルFRB議長の発言があり、為替相場は動いた。
10分ほどの短い講演でしたが、特に米株価の急落が目立った。
【パウエルFRB議長の発言】
- 9月の利上げ幅は完全にデータ次第
- 景気抑制の政策は一定期間必要になる可能性
- 早急な緩和のリスクを歴史が警告
- 7月のインフレ率低下は歓迎。ただ、FRBがインフレ率の低下に自信を持つに必要な水準には達していない
- 労働条件がいくらか緩和され、家計にいくらかの苦痛が生じる可能性が非常に高い
- 高インフレが長引けば長引くほど、定着する可能性が高まる
上記より、高金利をしばらく維持する方針を示した為、ドルは一時的に買われるが、材料出尽くし感がありドル売りに入る。
その時には米株価の買い戻しもあり、下落前の水準まで戻っていたが、目先の売買が一巡して米長期金利が上昇するとドルは買われて、一転し米株相場がそのまま急落した。
米株価が下落した要因としては一時的な米経済悪化懸念だ。
パウエル氏のインフレに対する以下の決意表明が急落に繋がったのだろう。
「インフレを抑え込むには家計や企業に何らかの痛みをもたらすことになるがそれは避けられないコストだ。ただ、物価の安定を取り戻すことに失敗すればもっと大きな痛みを伴うことになる」
現在はインフレとリセッション(景気悪化)の狭間。
これは一例になるが、インフレを抑え込む為には引き締め・利上げが必須で、それをFRBが優先することで企業側からすると設備投資などに必要なお金を銀行から借りるが利率も上がり借りにくくなる。
その為、企業の成長が停滞するので、株価は下落するという流れ。
上記はほんの一例だが、インフレを抑え込む為の過程の中で、株価が下落する要因は色々とある。
そして株価が下落するということは米経済がリセッションに陥る可能性が高まる。
なのでFRBは株価をなるべく落とさずに、上手にコントロールしていかないといけない。
今回株価が一時的に大幅下落したのも、まずはインフレを抑え込むと改めてパウエル氏が決意表明をした為。
直近までは利上げペースをいずれは落として行かないといけないアピールをしていたので、「そろそろ利上げペースが鈍化するのでは?」とマーケットが勝手に判断し株価は押し上げられていたが、事実を改めて叩きつけられた感があったのだろう。
ただチャートを見る限り、2022年6月20日から米株価(ダウ)は大きく買い戻されていたので、そこからの下落幅で見ても半値戻しぐらい。
FRBからしたら想定内の下落幅だとは思うが、今後の米株価の動きやドルの動き、そしてFRBがどのように経済をコントロールしていくかに注目。
雇用統計|米国
そして9月1週目は「雇用統計」がある週になる。
FOMCが2022/9/21に開催されるので、発表までの最後の雇用統計。
この数字も当然データとして見られる為、大きく動く週になるかもしれない。
しっかり分析していく。今週もよろしくお願いします。
2022年8月22日
2022年8月15日~8月19日の重要局面をまとめました。
ドル円:1時間足表示
①ドル売り
- NY連銀製造業景気指数
- 予想:+5.5 結果:-31.3(前回+11.1)
- 米長期金利の下げ止まりで行って来いの相場状況で引ける
②資源国通貨売り(豪ドル・加ドル)
- 原油週またぎで約8ドルの急落
- 中国の小売工業系の指標悪化
③円売り
- 日銀のマイナス金利適用残高が増加
- 7/16〜8/15のマイナス金利適用残高は9,030億円
- ほぼ全額がみずほへの適用
- 適用残高が増えた事でマーケットは嫌気をさし円売りへ
④株価上昇・ドル買い
- 米大手小売業の決算発表
- ウォルマートやホーム・デポが好決算
- 前四半期決算が悪かったので、今回も悪ければ「リセッションでは?」と注目されていた。
⑤ドル買い→ドル売り
- 小売売上高&【除自動車】&FOMC議事録要旨
- [コア・前月比] 予想:-0.1% 結果:0.4%(前回0.9%)
- 自動車を除く小売売上高は予想を上回ったのでドル買い
FOMC議事録要旨では、特にタカ派な意見は無し。「ある時点で利上げペースを減速が適切」発言でドル売り
⑥ドル買い
- 地区連銀総裁の発言内容
- インフレへの勝利宣言は時期尚早
- 年末に向けて利上げをしていく(年末までに375bp〜400bp)
- 利上げペースをいずれは抑えないといけないがまだまだ利上げの必要はある
⑦ドル買い
- 米指標の好水準
- フィラデルフィア連銀景況指数:予想 -5.0 結果 +6.2(前回-12.3)
- 新規失業保険申請件数:予想 26.5万件 結果 25.0万件(前回25.2万件)
⑧欧州通貨売り(ユーロ・ポンド)
- インフレ&異常気象(熱波・干ばつ)
- 天然ガスなどのエネルギー不足問題
- ライン川の水位低下によるサプライチェーンの停滞
■為替
先週の為替市場は、再びドルが大きく買われた。
たったの1週間でドル円は5円弱の上昇となる。
クロス円上昇|日銀の現状
火曜日から、
クロス円全般の上昇キッカケは、日銀のマイナス金利適用残高増加の件。
日銀は2016年からマイナス金利を導入。
現在の日銀の当座預金は3段階に分かれている。
- 金利+0.1%:2016年までの既にあった残高分
- 金利 0.0%:ある一定以上積んだ残高(マクロ加算残高)
- 金利-0.1%:ある一定以上積んだ残高(政策金利残高)
みずほ銀行側は、今回のマイナス金利適用で生じる負担は7,000万円程度の見込み。
市中に預けるのを考えると日銀に預けた方がリスクは少ないと判断。
上記の報道から、世界の中央銀行の多くが利上げに向かう中で日銀の緩和策について懸念はされているが、さらにマイナス金利適用残高が増えた事が海外勢の嫌気となり「円売り」へ。
クロス円全般が上昇した背景が上記だったので結構個人的にはインパクトがあった報道だったので記載しておきます。
米ドルの火曜日から終わりまでは、
FOMC議事録要旨以外は全てにおいてドル買いに繋がる内容が多かったと言える。
FOMC議事録要旨では「ある時点で利上げペースを減速が適切」発言により一時的な下落を見せたが、以下の材料にてドルが底堅く買われた。
- 小売企業の好決算
- 米国指標の数字
- 地区連銀総裁の発言
欧州経済
欧州通貨は軒並み弱かった。
やはり過度なインフレと異常気象により、経済面でダメージが大きい状況。
今まではロシアから安くガスを購入していたが、ウクライナ情勢による世界の経済制裁で欧州だけエネルギー関係をうまくカバーできていないのが現状。
そろそろ欧州は経済制裁の見直しをしないと欧州経済が根底からダメになる。
正直ロシアからすると、現在の経済制裁は痛くも痒くも無いだろう。
これは個人的な意見として、ウクライナ情勢による非人道的な行動は重々承知だが、このまま経済制裁を続けると国民の生活がさらにひっ迫する恐れがある。
そしてこのタイミングで異常気象の発生。
地球が怒っているのか・・・
人間の選択の間違いによる追い討ちをさらに掛けているようにも感じる。
ドイツ・ライン川の水位が下がり、「積荷なしの船舶でも航行できない場合がある」などと、サプライチェーンの停滞など経済面からでも欧州通貨が圧倒的に弱いことはわかる。
インフレに関しては、多少の引き締めや利上げなどで回復できるレベルでは無く、そもそもの根底から対策を打たないといけない状態だと感じている。
1週間単位でも上記のような状況なので、今までの見立ては変わらない。
ドル買い・ユーロ売りの考えになる。
ジャクソンホール会議
そして今週末は「ジャクソンホール会議」がある。
ジャクソンホール会議とは、
世界各国から中央銀行総裁や政治家・学者などが参加し、世界経済や金融政策について議論を交わす場。
毎年8月に開催されるが、今年は25日〜27日の3日間で開催される。
ここでの要人発言がとても気になる所だが、やはり注目しているのは26日のパウエル氏の講演。
現在の発言内容は少しタカ派から離れているが、どのような講演内容になるか注目されている。
そしてドル買いに慣れているマーケットでは、注目が必要になるのは黒田総裁の存在です。
現在のドル円は、ドル買い方向に進むと判断しているが、一気に最高値をつけて伸びた後には注意が必要。
金曜日発表の日本のCPIは、コアの数字が上昇し続けている。
日銀のインフレ目標は2%だが、現在4ヶ月連続で2.1%→2.4%まで数字は上昇しているので、何かしらの「冷ます発言」があるかもしれない。
もしそのような発言があれば、一時的に円買いが進む可能性も考えれますので今週も慎重にマーケット動向を確認していきます。
2022年8月15日
2022年8月8日~8月12日の重要局面をまとめました。
①ドル売り
- 雇用統計の調整相場
- 金曜日の雇用統計で3円上昇
- CPIが7月原油価格の下落により弱い見通しと報道
- インフレ加速が鈍化するのでは・・・
②ポンド売り
- BOE副総裁の発言
- 景気後退により来年は利下げが必要になるとの見方を否定はしない
- 英国は来年1月に企業・家庭の計画停電を検討
③ユーロ買い
- ウクライナ情勢の一部緩和
- 露ガスプロム「ウクライナ経由で欧州へガスを供給し続ける」
- ウクライナから穀物輸送船が追加で出港
- 独・国債の金利が上昇
④ドル売り
- CPI(米消費者物価指数)
- [前月比] 予想:0.2% 結果:0.0%(前回1.3%)
- [前年比] 予想:8.7% 結果:8.5%(前回9.1%)
- [コア・前月比] 予想:0.5% 結果:0.3%(前回0.7%)
- [コア・前年比]予想:6.1% 結果:5.9%(前回5.9%)
- コア指数下落がサプライズ
=本格的にインフレ圧力の緩和と受け止められているマーケットの動き
⑤ドル売り
- PPI(米生産者物価指数)
- [前月比] 予想:0.3% 結果:-0.5%(前回1.0%)
- [前年比] 予想:10.4% 結果:9.8%(前回11.3%)
- [コア・前月比] 予想:0.4% 結果:0.2%(前回0.4%)
- [コア・前年比]予想:7.7%結果:7.6%(前回8.4%)
- コロナ禍初期以来のマイナス数値
=本格的にインフレ圧力の緩和とに受け止められているマーケットの動き
⑥ドル買い
- FRB高官の発言
- インフレはまだまだピークアウトしていない
- 1回のCPIで判断をする事は時期尚早
- 年末までに3.5%〜4.0%ぐらいまで利上げを予想
⑦米株価上昇
- ミシガン大学消費者信頼感指数
- 予想:52.5 結果:55.1(前回51.5)
- 1年後のインフレ見通しが低下し5〜10年のインフレ見通しが上昇
⇒インフレピークアウトと判断され株価は大幅に買われた
■為替
先週の為替市場は、米国CPI発表までドル円に大幅な動きは出なかった。
ただCPIでは前月の原油価格の下落が影響され弱い数字になるのでは?との報道がブルームバーグで報じられた。
明確な結果は出ていないが、ドル売りに反応していた。
そしてCPIの結果を受け、大幅にドルは売られる方向になった。
おもな理由は、コア数の数字さえも悪かったことだと判断している。
コア数とは変動が激しい生鮮食品(天候や市況など外的要因で左右される為)とエネルギー価格(原油・天然ガスなど)を除いた指数になるが、変動があまりないコア数でさえも悪くなっているのであれば、これはいよいよ本格的にインフレがピークアウトをしたのではないかと捉えられたと思う。
翌日はPPIの結果だったが、こちらもコロナ禍初期以来のマイナスの数字でした。
プラスの予想からマイナスになっている事がそもそものサプライズになるが、その通りの相場の動きだった。
各地区連銀総裁は、必死に以下のような水を差す発言が増えている。
- インフレはピークアウトしていない
- まだまだ引き締めは必要
- 年内までには3.5〜4%の利上げは必要
このような発言をすることで、マーケットを上手く操作していることも事実ではあるが、米国はこの辺りに関してかなりの上手。
次回のFOMCまでには、雇用統計・CPIの発表が1回ずつある。
現在の「50bpの利上げ」「75bpの利上げ」を論争するのは時期尚早ではないか?と考えていますので、一旦冷静な判断が必要。
現在の世界経済の状況は、圧倒的に米国が有利であることは間違いないと考えています。
欧州経済は、自然災害や熱波の問題もありかなり追い込まれている状況。
またウクライナ情勢による過度なインフレ。
そして従来より天然ガス・原油などを他国に依存したことにより資源も枯渇している。
さらに熱波の問題は、電気代が高騰・そしてこれから迎える冬の寒さも懸念材料である。
それに比べて米国は、資源は産油国のためゆとりがあり、輸出入問題はここまでドルの価値が高ければ有利に働くことが多いだろう。
上記より、正直ドルを売る理由は無いことが本音。
現在のようにインフレがピークアウトを迎えたと市場は判断しているが、FRBは帳尻・調整を行うはずなので一時的な下落は押し目ポイントになるのではないか?と考えています。
逆にこのタイミングで中期的にドル売りを仕掛けることはリスクが高く、それだけ今の相場はとても難しいとも言えます。
(短期トレードを除く)
世界的に現在は長期(夏季)休暇中となり、流動性の観点においても現在の短期相場の分析には大した意味が無い。
来週後半の相場の動き頃より、通常の相場分析をしていきたいと考えています。
2022年8月8日
2022年8月1日~8月5日の重要局面をまとめました。
①ドル売り
- ペロシ米下院議長の訪台報道
- 「台湾情勢」により「有事の円買い」へ
- 中国は反発からの軍事演習実施へ
- 月曜日は大きく売り込まれたが、火曜日の欧州時間には無事に訪台できた報道で買い戻し
②オージー売り
- RBA政策金利&声明文
- 結果:50bp利上げ(合計185bp)
- 金利引き上げについては「データとインフレや労働市場の見通し」によるとの事
- FOMCの結果に似ている声明文内容の印象
- 「台湾情勢」や「原油下落」により大きく売られる
③ドル買い
- ISM非製造業景気指数&各米地区連銀総裁発言
- 予想:53.6・結果:56.7
- 3ヶ月ぶりの高水準
- FOMC後の各米地区連銀総裁の「引締め路線継続」発言
④ドル売り
- 中国5発のミサイルが日本のEEZ(排他的経済水域)内に落下
- 北朝鮮ではなく中国からという所がポイント
- ペロシ米下院議長に対してかなりの圧力をかけている
⑤ポンド売り
- BOE政策金利&声明文
- 結果:50bp利上げ(合計175bp)
- 今年第4四半期の景気後退入りを予想、5四半期で成長2.1%の落ち込み
- 年後半にリセッション(景気後退)に陥る可能性
⑥ドル売り
- サル痘の感染拡大
- NY・カリフォルニア・イリノイ州にて感染拡大となり緊急事態を宣言
- 国内感染者6,600人超
⑦ドル買い
- 米雇用統計
- 非農業部門雇用者数 予想:24.9万人・結果:52.8万人
- 失業率 予想:3.6%・結果:3.5%
- 平均時給(前月比) 予想:0.4%・結果:0.5%
- 平均時給(前年比) 予想:5.1%・結果:5.2%
- 雇用者数はダブルスコアで各項目全て良い数字だった
- 発表を受け米10年国債利回りは2.86%台まで回復
■為替
月曜日から火曜日の東京時間までは、
ペロシ米下院議長の訪台報道により、米中の悪化が懸念され大きくリスクオフ。
「有事の円買い」の方向性に流れ、ドル円は一時130.400あたりまで下落しました。
火曜日の欧州時間より、
無事ペロシ米下院議長が台湾に着いたということで安心したマーケットからの買い戻しが起きた。
それだけではなくFOMC以降の各米地区連銀総裁発言が連続でありました。
火曜日に発言された内容をまとめると、「まだまだ引締め路線継続が必要」という事。
マーケットは、FOMC後にパウエルFRB議長が発言した内容を意識し「引き締めが更に鈍化していくのでは?」との捉え方から大きく売られました。
しかし各米地区連銀総裁達はまだまだ引き締めが必要との発言。
それも後押しとなり、火曜日欧州時間以降からドルの大きな買い戻しが入った。
その後は「台湾情勢」による影響にて、中国から5発のミサイルが日本の排他的経済水域内に落下するなどドルは売り込まれたものの、下落は限定的で翌日の米雇用統計にフォーカスされた模様。
その為、今回の米雇用統計はかなり注目されていました。
米国のGDP2四半期連続マイナスという事実がありましたので、数字が全体的に良ければFRBはまだまだ経済状況は問題なしと判断し、容赦ない金融引き締めをする可能性があると市場は判断していました。
そして、
- 米雇用統計の結果があまりにも良すぎた事
- 火曜日から各米地区連銀総裁の発言(引き締め路線継続)
などから、大きくドル円は買い込まれる結果となった。
金曜日の値幅を確認すると、約300pips(3円)が動きドル円は急上昇した。
オージー(AUD)・ポンド(GBP)も政策金利があった為、大きく動いた通貨となります。
どちらの通貨も利上げはしたが、結果的には大きく売られる事となる。
オージー(AUD)が下落した原因は、
今後の利上げに関しては「データ次第」といった内容。
材料が出尽くした感もありフォーカスされたのは、
- 「台湾情勢」
- 「原油下落」
ではないでしょうか?!「台湾情勢」は中国との貿易の問題で、「原油下落」はオージーは原産国通貨だけあって原油価格に左右される傾向にある。
このトリプルパンチで大きく下落につながったと言える。
ポンド(GBP)は、
声明文とベイリーBOE総裁の発言内容により大きく下落。
- 「今年第4四半期の景気後退入りを予想・5四半期で成長2.1%の落ち込み」
- 「年後半にリセッション(景気後退)に陥る可能性」
との事で大きく売られた。潔く英国紳士的な発言内容だった印象。
今週は米CPI(消費者物価指数)があり、また大きく動く週になるかも知れない。
市場ではガソリン価格などが下がった事により、CPIは数字が悪いと判断している達が多い印象。
だが市場が思っている通りに結果が出ればそこまで相場は予想通りで動かないが、逆の結果になった場合はサプライズとなり、「まだまだ引き締めが必要」と判断されドルは高値を付けにいく動きも見してくるのに少し期待はしている。
現在はそれぐらいインパクトがある指標(=CPI)なので、しっかりチェックしながら相場分析をしていきたいと思います。