本記事では、2025年9月の為替市況について解説いたします。
テクニカル分析も重要ですが、FXは外貨と外貨の両替による取引で損益が発生します。
そのため週間レポートは、通貨の売買を促すきっかけとなるファンダメンタルズ(経済/金融の流れ)中心の見解となります。
各週の相場状況・重要トピックスについて解説します。
目次
2025年9月29日~10月3日

①(月)円高
- 野口日銀審議委員
- ハト派からタカ派へ
- 東京時間から欧州時間までドル円続落
②(月)ドル安
- 政府閉鎖の可能性
- トランプ氏「政府閉鎖の可能性ある」
- 共和党53、民主党45、無所属2
- 9/19、賛成48票、反対44票ということで60票には届かず
- 民主党の一部議員からの協力が欠かせない状態
③(火)円高
- 日銀主な意見
- そろそろ再度の利上げを考えてもいい時期かもしれない
- 内容がタカ派内容が多かった
④(火)ドル安
- 政府閉鎖の可能性&経済指標
- 月曜日に引き続き閉鎖懸念
- JOLTS求人:予想7200千件 結果7227千件
- 消費者信頼感指数:予想96.0 結果94.2
- 採用率は2024年6月以来の低水準
- レイオフ数は低水準で横ばい
- ドル円は147.663円まで下落
⑤(水)ドル安
- 政府閉鎖がスタート
- ドル円が大きく下落スタート
- 146.596円まで下落
⑥(水)ドル安
- 経済指標
- ADP:予想+5.0万人 結果-3.2万人(前回+5.4万人)
- ISM:予想49.0 結果49.1(前回48.7)
- 雇用統計が無いのでADPが注目
- 予想を大きく下回る数字
⑦(木)円高
- 内田日銀副総裁発言
- 景気に関して全体としても良好な水準となっている
- 経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ
- 発言の内容は想定内
⑧(木)米株高
- 主な要因
- 民間の雇用が悪化し「利下げ」期待が高まっている状態
- 習近平氏と4週間後に会談と表明
- ベッセント氏も意欲的
⑨(金)円安→円高
- 植田日銀総裁発言&小泉氏が優勢
- 一部で期待が高まっていたタカ派な発言ではなかった
- 米関税踏まえ、まずは緩和環境維持し経済を支えることが大切
- 円安が加速することになり147.808円まで上昇
- 自民党総裁選にて小泉氏が優勢
⑩(金)ドル安
- 政府閉鎖の影響で
- FRBの利下げ加速するのでは?
- 10年債利回りが上昇


2025/9/29~は、前週より一転して円高相場となりました。(=主要通貨に対して全面円高)
ドル円の値幅は2.95円(295pips)となり、現在は147円中盤付近を推移しています。
今回のメイントピックスである、
- 「米国政府閉鎖」
- 「日銀の利上げ観測が前進」
についてまとめていきます。
米国政府閉鎖

https://jp.reuters.com/world/us/PQI7KPQ3JBMNZAHYBR6BLYRNBE-2025-10-01/
10月1日から米政府閉鎖がスタートしました。
そもそもなぜ政府閉鎖になってしまった原因は以下になります。
今回トランプ大統領の減税策において、財源の確保が必要になってきます。(減税するということはどこかで財源を賄わないといけない)
その財源の一部を確保する為にトランプ大統領が目につけたのは「医療保険の補助」や「メディケイド(低所得者向け医療制度)」になります。
これはそもそも2010年に米国で成立した「オバマケア」が関係してきます。
- 医療保険に入っていない人への補助金
- メディケイド(低所得者向け医療保険)の拡大
が実施されたことによって、共和党は昔から「財政負担が大きい」「政府の関与が強すぎる」と批判し、縮小や撤廃を求めてきました。
民主党は「大きな政府」、共和党は「小さな政府」と呼ばれていますが、ざっくり説明すると、民主党は「国がもっと積極的に国民生活に関わるべき」という考え方で、民主党は「政府はできるだけ小さく、国民や企業の自由に任せるべきだ」という考え方になります。
双方のメリットデメリットに関しては以下になります。
<民主党>
- メリット・・・弱い立場の人も安心して暮らせる。格差是正につながる。
- デメリット・・・政府支出が増え、財政赤字や税金の負担が重くなる。
<共和党>
- メリット・・・税金が少なく、経済の活力が高まりやすい。自由度が高い。
- デメリット・・・弱者への支援が減り、格差が広がりやすい。
こうした背景があり、2025年の予算交渉で、民主党はオバマケア関連の補助金やメディケイドへの支出を予算に入れることを要求しましたが、共和党は「余計な政策条項を入れず、純粋に政府機能を延長する“きれいなつなぎ予算”にすべきだ」と反対。
この対立が決裂し、予算が通らず政府閉鎖に突入したということになります。
しかし、政府閉鎖話が出ているのに株価が上がっているのは、「いずれ合意されるから」というマーケットの判断だとは思っています。
最長でも35日間の政府閉鎖で、以下のように結局株価はそれ以降上がっていくことがわかっているというのがマーケットの本音だと思います。

現在は政府閉鎖がいつ終わるのか?という所が注目されています。
日銀の利上げ観測が前進

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-29/T36MAAGOT0JT00
日銀ではハト派の野口氏ですが、先週の野口氏の発言でも、「政策金利調整の必要性がこれまで以上に高まりつつある」と発言しております。
このように普段ハト派の人間がタカ派発言をすることによって相場は動きます。
そして翌日には9月18-19日分の「日銀の主な意見」が公表されました。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2025/opi250919.pdf
この中でも触れているように「そろそろ再度の利上げを考えてもいい時期かもしれない」など、結構タカ派色が強い内容だったことを受け、「日銀の利上げ観測」が高まることになりました。
前日に「野口日銀審議委員」のハト派からタカ派にシフトしていることも関係し、「年内の利上げはありえるのでは?」という流れになってきていることで、週中盤までは円高を支える内容になっていました。
しかし週後半に植田日銀総裁の発言などから、「米関税踏まえ、まずは緩和環境維持し経済を支えることが大切」など一部で期待が高まっていたタカ派な発言ではなかったことで、金曜日に円安に戻る瞬間もありました。
しかし4日の自民党総裁選にて「小泉氏が優勢」という流れになっており、再度円高に戻る動きをしていました。
自民党総裁選の候補者の影響ですが、現在高市氏と小泉氏の一騎打ちと予想されており(現在10月4日時点)、以下の流れで把握しております。

2025年9月22日~26日

①(月)株高
- NVIDIA1000億ドル投資
- NVIDIA、米OpenAIに最大1000億ドル
- 新たなデータセンターやAIインフラの整備を支援
- 米株価3指数が最高値更新
②(火)レンジ相場
- 経済指標
- 仏PMI製造業:予想50.1 結果48.1(前回50.4)
- 仏PMI非製造業:予想49.6 結果48.9(前回49.8)
- 独PMI製造業:予想50.0 結果48.5(前回49.8)
- 独PMI非製造業:予想49.5 結果52.5(前回49.3)
- 欧PMI製造業:予想50.7 結果49.5(前回50.7)
- 欧PMI非製造業:予想50.5 結果51.4(前回50.5)
- 英PMI製造業:予想47.1 結果46.2(前回47.0)
- 英PMI非製造業:予想53.5 結果51.9(前回54.2)
- 米PMI製造業:予想52.2 結果52.0(前回53.0)
- 米PMI非製造業:予想54.0 結果53.9(前回54.5)
③(水)豪ドル高
- 経済指標
- 豪CPI:予想+2.9% 結果+3.0%(前回+2.8%)
- 11月の利下げの確率が統計発表前の約70%から50%に低下
④(水)ドル高
- 経済指標&原油&社債発行
- 新築住宅販売件数:予想65.0万件 結果80.0万件
- 原油高
- オラクル社債180億ドルを発行
- 米投資適格で今年2番目の規模
- ドル円は148.913円まで上昇
⑤(木)ドル高
- 経済指標
- 新規失業保険申請件数:予想23.5万件 結果21.8万件
- 第2四半期GDP【確報値】:予想+3.3% 結果+3.8%(前回+3.3%)
- 個人消費【確報値】:予想+1.7% 結果+2.5%(前回+1.6%)
- ドル円149.930円まで上昇
⑥(金)ドル高
- 経済指標
- PCEデフレータ・前月比:予想0.3% 結果0.3%(前回0.2%)
- PCEデフレータ・前年比:予想2.7% 結果2.7%(前回2.6%)
- PCEコアデフレータ・前月比:予想0.2% 結果0.2%(前回0.3%→0.2%)
- PCEコアデフレータ・前年比:予想2.9% 結果2.9%(前回2.9%)
⑦(金)ドル安
- 経済指標
- ミシガン大学消費者信頼感指数【確報値】:予想55.4 結果55.1(前回55.4)
- 1年先期待インフレ率:予想4.8% 結果4.7%(前回4.8%)
- 5-10年先期待インフレ率:予想3.9% 結果3.7%(前回3.9%)


2025/9/22~は、全面ドル高の1週間となりました。
ドル円の値幅は2.45円(245pips)となり、現在は149.519円付近を推移しています。
今回のメイントピックスである、
- 「パウエルFRB議長発言&米経済指標」
- 「Oracle社債発行」
についてまとめていきます。
パウエルFRB議長発言&米経済指標

FRB議長、物価と雇用にらみ「難しい局面」 追加緩和時期示さず
https://jp.reuters.com/markets/japan/VSLFNN23H5LBLMILCLKETMVS6Q-2025-09-23/
【パウエルFRB議長】
- 長期的なインフレ期待は2%の目標と一致する
- 数四半期にわたり、一時的な物価上昇が起こる可能性が高い
- 関税が継続的なインフレを招かないようにする
- FRBにとってリスクフリーの道筋はない
- 雇用の下振れリスクが高まっている
- 政策が過度に引き締め的であれば、労働市場に不必要な打撃を与える可能性がある
- 最近の物価上昇は関税の影響が大きい
- インフレの道筋をめぐる不確実性は依然として高い
- 過度に積極的な金融緩和はインフレ抑制策を未完にしてしまう可能性がある
- 9月の利下げ後、FRBは好位置にある
- 経済・政治制度への国民の信頼が揺らいでいる
- 株価はかなり高い評価水準にあると多くの指標が示唆している
結果的にには「両方(物価・雇用)のリスクあって、来月の利下げに関しては示唆せず」という内容でした。
と言うこともあり、マーケットの動き的には限定的でした。
しかし株価のことに対して、「株価はかなり高い評価水準にあると多くの指標が示唆している」とのことで、内容的には若干タカ派で、株価が高すぎると示唆したことによって株価が3指数揃って下落する流れになりました。
そして木曜日に以下の米経済指標の発表がありました。
米・経済指標

【新規失業保険申請件数】
- 予想23.5万件 結果21.8万件(前回23.1万件→23.2万件)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-25/T359LTGOT0JL00
【第2四半期GDP【確報値】/個人消費【確報値】】
- 第2四半期GDP【確報値】:予想+3.3% 結果+3.8%(前回+3.3%)
- 個人消費【確報値】:予想+1.7% 結果+2.5%(前回+1.6%)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-25/T359OSGPQQ7A00
強い結果を受け、ドルが大きく買われることになります。
まずは失業保険申請件数は減少していることで、労働に関するデータが良かったこと、そしてGDPに関しては上方修正して個人消費も大きく上方修正する結果となりました。
GDPに関しての結果は以下になります。

内訳は以下。

これだけ米経済は強いのにFRBは「利下げする必要ある?」的な動きだったと思います。
最近のパウエル氏の発言もふまえ、タカ派な意向に動きつつあるドル円でしたが、上記の発表もあり、節目の150円に到達する動きを見せたと言う内容になります。
Oracle社債発行

オラクル、社債180億ドルを発行へ-米投資適格で今年2番目の規模
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-24/T33EJDGOT0K200
米投資適格で今年2番目の規模となりました。
社債発行=企業が資金調達のために新しく債券を市場に出すことを指しますが、債券市場に新しい債券(=供給)が増えると、既存の債券の価格は下がりやすくなり、需給が「緩む(供給過多ぎみになる)」現象になります。
つまり銀行や証券会社は社債を大量に引き受けると、その後の金利上昇や価格下落リスクに晒されてしまいますので、リスクを抑えるために国債先物やスワップで「売り」を出すという、いわゆる「ヘッジ売り」を仕掛けます。
国債が売られると、金利が上昇しますので、その通貨建ての資産(国債や預金など)の利回りが上がります。
したがって、投資家からすると、米国金利が上昇 → ドル買い要因になりやすいと言うことに繋がると言うことです。
(水曜日)材料難の中でドル円は140pips程度の値動きがあったので、為替への影響要因の一つとして考察しております。
2025年9月15日~19日

①(月)ユーロ高
- 要人発言(シュナーベル氏・ナーゲル氏)
- 金利は適切な水準
- 利下げは慎むべき
- 金利差拡大でユーロドル上昇
②(火)円高
- 自民党総裁選
- 小泉進次郎氏と林芳正氏が出馬する意向を表明
- 小泉氏と林氏に関しては緊縮財政
- ドル円が下落
③(火)ドル安
- 利下げ観測
- 利下げを意識した動き
- FOMCの思惑が進んだ
④(水)円安
- 日経新聞リーク
- 日銀会合「据え置き」
- 植田氏の発言に注目される
- FOMC前だったので瞬間的
⑤(水)ドル安→ドル高
- FOMC
- 声明発表はハト派
- 金利の見通しはハト派(年内2回利下げ)
- 経済見通しはそこまでハト派ではない(失業率が少なくなるとの見方)
- パウエル氏はタカ派より
⑥(木)円安
- 高市氏が自民総裁選への出馬表明
- 金曜日14:30から「政策発表」をする流れ
- 前日のFOMCの影響も引っ張りドル円は上昇
⑦(木)ドル高
- 経済指標
- 新規失業保険申請件数:予想24.0万件 結果23.1万件(前回26.3万件→26.4万件)
- フィリー:予想+1.9 結果+23.2(前回-0.3)
- 前回が悪かっただけに改善されていることが好感
- 148.270円付近までドル円は上昇
⑧(金)円高→円安
- 日銀政策金利
- 据え置き(50bp)
- ETF:時価6200億円程度(年間ペース)
- REIT:時価55億円程度(年間ペース)
- 日経平均株価が急落
- ドル円も瞬間的に下落
- 落ち着いてからドルの買い戻し

騰落(対ドル)
- 上昇:CAD +0.51%, CHF +0.15%, EUR +0.07%
- 下落:JPY -0.20%, GBP -0.65%, AUD -0.87%, NZD -1.60%
対ドルは「CADのみ上昇」、NZD/AUD/GBPが下落、JPYは小幅安で相対的に粘り。

騰落(対円)
- 上昇:CAD +0.67%, CHF +0.33%, EUR +0.30%, USD +0.20%
- 下落:GBP -0.44%, AUD -0.66%, NZD -1.40%
対円は「強CAD・堅調EUR/CHF・弱NZD/AUD・やや弱GBP」。USD/JPYは小幅にドル高。
一方でクロス円は**NZD/JPY -1.40%、AUD/JPY -0.66%、GBP/JPY -0.44%**と、円高優位の通貨もあり“円はまちまち”でした。
2025/9/15~は、「買われたCAD/売られたNZD・AUD」です。
円は対ドルではやや弱いが、オセアニアやポンドに対しては強め。
ドル全体は中立〜やや強含み、欧州は**穏やかに堅調(対円)**という状況。
当該週の為替相場は、中銀ウィークで主要各国の政策金利発表での影響が多い1週間となりました。
では今回のメイントピックスである、「FOMC」「日銀会合」についてまとめていきます。
FOMC
- 結果:25bp利下げ(425bp)

FOMCが25bp利下げ、パウエル議長が労働市場の良い時代終了を宣言
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-17/T2QVDXGOYMTD00
FOMCの結果は「25bp利下げの425bp」という予想通りの結果となりました。
事前から織り込みがあったので動きの理由にはなっていません。
ドル円が大きく下落した要因は以下の「経済・金利見通し」の結果になります。
<金利見通し>

(ドットチャートより)2025年残り2回利下げということで、10月と12月の会合で1回ずつ連続利下げを行う予定ということになります。
「前回の見通しと変化がないのでは?」と言われていましたが、2会合連続利下げの見通しになりました。(パウエル氏もそれを支持)
またサプライズとしては、「雇用は悪化しているし、今回のFOMCはやっぱりハト派だ」と思って、ドル円が一気に下落した流れとなりました。
トランプ氏の息がかかったミランFRB理事は、0.5%利下げを主張しています。
ただし予想にはバラツキがあり「年内利下げなし」は6人が支持(予想)しています。
発表のインパクトでドル円は下落したのですが、一時は買い戻しが発生しましたがその要因は以下の経済見通しになります。
<FOMC経済見通し>

金利の見通しも重要ですが、今回の争点はFRBが「インフレ・雇用」のうち「いつ雇用を重視するのか?」という所でした。
そして経済見通しにて、「失業率は来年には改善される見込み』として予想の数値を「4.5から4.4に引き下げ」を予想しています。
声明での内容と実際の状況から、マーケットは「あれ?雇用はそこまで重要視していないの?」という不透明感が出たことによって、ドルの買い戻しが入った状況ということになります。
そしてパウエル氏の会見のポイントが以下になります。
<パウエルFRB議長発言のポイント>

- 雇用の原則リスクに対する措置(雇用に対するリスクマネジメント的な利下げ)
- 50bpの大幅利下げ支持は得られない(大幅利下げ派は正当化できず)
- 政策スタンスを中立的に(インフレ・雇用の見方を同等に見る)
- 今後はデータ次第で、タイムリーに対応
- FRBの独立性にコミット
あくまでも今回の利下げは、「雇用に関するリスクマネジメント」(とりあえずは雇用もこんな状況だし、一回利下げをしておきましょう)的な言い方ということで、「雇用が非常に危なくなっている」的なことではありませんでした。
その他の発言では、
- 「大幅利下げ派は正当化できず」
- 「政策スタンスは中立的に」
- 「SEPは金利の道筋を固定するものではない」
などを発言しており、「声明文ほどハト派ではないよね?」というマーケットの判断から、ドルはさらに大きく買い戻しへと繋がりました。
<FedWatch(18日時点)>

週末時点のFedWatchは、2025年は「2回利下げ」という予想となっております。
今後の経済指標の結果、トランプ大統領の発言など、大きな状況変化が予想されるような出来事がない限りは年内2回利下げが濃厚となります。
日銀会合

- 結果:据え置き(50bp)
植田日銀総裁、関税の影響を全て見極める必要ない-早期利上げに含み
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-19/T2ROZ0GPL44H00
予想通りの据え置きになります。
しかし瞬間的に日経平均株価とドル円が下落した要因とは以下になります。

植田日銀総裁、関税の影響を全て見極める必要ない-早期利上げに含み
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-19/T2ROZ0GPL44H00
上記より、日経平均株価が急落することになりドル円も瞬間的に下落する流れとなりました。
<簿価と時価の違いについて>
- 簿価・・・買ったときの値段(帳簿上の数字)
- 時価・・・今売ったらいくらか(実際の価値)
今回は年間の売却ペースを簿価3300億円程度(時価6200億円程度)で進めていくという発表をしております。
2016年からETF売却は進めていましたが、REITは初の売却となります。
現在日銀が保有しているETFは、簿価で約37兆1860億(時価約76兆2000億)と言われており、発表内容から考えると全てを売却するには約100年かかる計算になります。
そして市場全体の売買代金に占める売却割合が「0.05%」に抑えるということで、売却による影響をできるだけ小さくして、市場価格を大きく動かさないようにする狙いだと述べています。
上記「0.05%」の意味ですが、例えば、ある日の東証売買代金が10兆円だったとします。
10兆円×0.05%=50億円
→ その日は、日銀が売却するETFは「約50億円分」に抑えられるという事です。
要するに売却量が市場の流動性に比べて大きいと、需給バランスが崩れて株価に悪影響を与えてしまうので、このような政策をとっているということになります。
上記の内容から、市場がすこし落ち着いて徐々に買い戻しが入っていった流れになります。
そして14:30から高市氏の会見が入り「金融政策」に関して特に触れなかったこと、そして植田日銀総裁は「いつも通りの内容」だっただけに、相場がそこまで大きく動くことはなく「往ってこい相場」になった流れでした。
2025年9月8日~9月12日

①(月)円安
- 石破首相辞任
- 高市氏の期待により円安
- 高市氏はバラマキ政策
- 以前は利上げ否定論者
②(月)ユーロ高
- フランスの信任投票にて、敗北
- バイル首相辞任
- 市場は織り込み済み
- 仏債券が上昇
③(火)円高
- 日銀の観測記事
- 石破首相の退陣表明後でも
- 年内利上げの可能性を排除しない
- 市場は「10月もありえる?」という流れ
④(火)ドル安→ドル高
- 雇用者数ベンチマーク改定
- 1年間の雇用者増は91万1000人下方修正
- 1カ月当たりでは7万6000人近い下向き改定
- マーケットは既に織り込み済みでの買い戻し
⑤(水)ドル安→ドル高
- 経済指標
- PPI前月比:予想+0.3% 結果-0.1%(前回+0.9%→+0.7%)
- PPI前年比:予想+3.3% 結果+2.6%(前回+3.3%)
- PPI前年比・コア:予想+0.3% 結果-0.1%(前回+0.9%→+0.7%)
- PPI前年比・コア:予想+3.5%結果+2.8%(前回+3.7%)
- CPIを見たいという所の買い戻し
⑥(木)円安
- 高市氏が自民総裁選に出馬する意向
- 報道が入り円安相場に
- 利上げ否定論者
- 利上げ観測後退
⑦(木)イーブン
- ECB政策金利
- 結果:据え置き(215bp)
- 2会合連続の据え置き
- ラ:ディスインフレの進行は終了
- 来年末まで利下げない予想
⑧(木)ドル高→ドル安
- 経済指標
- CPI前月比:予想+0.3% 結果+0.4%(前回+0.2%)
- CPI前年比:予想+2.9% 結果+2.9%(前回+2.7%)
- CPI前年比・コア:予想+0.3% 結果+0.3%(前回+0.3%)
- CPI前年比・コア:予想+3.1%結果+3.1%(前回+3.1%)
- 新規失業保険申請件数:予想23.5万件 結果26.3万件
- 労働市場が悪化(利下げ観測前進)
⑨(金)円安
- 共同通信の世論調査結果
- 高市早苗氏:28.0%でトップ
- 小泉進次郎氏:22.5%
- 林芳正氏:11.4%
- 「金融緩和寄り」「積極財政寄り」が要因
⑩(金)ドル安
- 経済指標
- ミシガン:予想58.1 結果55.4(前回58.2)
- 1年先期待インフレ:予想4.8% 結果4.8%(前回4.8%)
- 5年先期待インフレ:予想3.4% 結果3.9%(前回3.5%)


2025/9/8~は、全面円安となりました。
当該週の為替相場は、石破首相が辞任表明・次の候補者が高市氏となり「高市相場」となっていた印象です。
しかし米経済指標の要因でドル安が伝わると、ドル円の値幅は2.27円(227pips)となり、現在は147円中盤付近を推移しています。
では今回のメイントピックスである「高市相場」「米経済指標」についてまとめていきます。
高市相場

石破首相が辞任表明、日米関税交渉に区切りで決断-「後進に道」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-07/T27MKOGP493500
昨年10月の首相就任から1年足らずの退陣表明となりました。

自民総裁選「フルスペック型」22日告示 国会議員投票は10月4日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250909/k10014917341000.html
自民党の総裁選では、昨年の総裁選で上位につけた高市早苗氏、小泉進次郎氏、林芳正氏、小林鷹之氏による争いが軸となるとみられていて、高市氏の思惑が広がり日経平均株価は急上昇して、金曜日時点では最高値を更新して引けを迎えています。
自民党総裁戦ですが、9月22日告示の10月4日に「フルスペック型(国会議員票と全国の党員票の合計で争われる)」で行う見通しとなっていて、去年の総裁選挙もこの方法でしたが少し時間はかかりそうな印象。

高市氏が出馬へ 自民総裁選
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO91280440S5A910C2MM8000/
そしてその中でも「高市氏」は前回石破氏と一騎打ちで負けましたが、かなり惜しかったので、次の首相候補として期待が大きい状況です。
木曜日に高市氏が自民総裁選に出馬する意向を岸田文雄前首相に伝達した時も、この影響で円売りが入り一時的に円安相場の動きとなります。
理由としては、過去に「今利上げをするのはアホや」というダイレクトな表現を使った印象があったからか、「利上げ否定論者」として見られているので「利上げ観測後退」の流れになります。
そして金曜日に「共同通信の世論調査結果」を出した際も、高市氏が1位だったことを受け、東京から欧州時間にかけて円売りが入ることになり、1週間通して「高市氏」の報道が出ると円安に動く為替相場だった印象です。
自民党総裁選、高市氏トップ28%・小泉氏22% 共同通信世論調査
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1291V0S5A910C2000000/
世論調査の結果は以下。
- 高市早苗氏:28.0%
- 小泉進次郎氏:22.5%
- 林芳正氏:11.4%
米経済指標

ジャクソンホール会議でのパウエル議長のハト派な姿勢、そして先月と金曜日の2度の雇用統計で利下げ再開への道がサポートされました。
これまでの優先順位は「物価>雇用」となり、物価高を抑制できていない状況を拠り所にして利下げを停止してきましたが、「物価<雇用」というシフトを迫られている状況です。
そして米CPI・PPIの発表があり、CPIは前月より上昇はしているものの、「利下げ」を妨げるほどではないという反応で、ドルは失速することになりました。
その要因は労働市場に関わる経済指標で、同時に発表された「失業保険申請件数」の数字がかなり増えていたことが要因とされています。

米失業保険申請件数、ほぼ4年ぶり高水準-レイオフの動き広がる
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-11/T2FC96GOYMTQ00
【米新規失業保険申請件数】
- 予想23.5万件 結果26.3万件(前回23.7万件→23.6万件)
上記の結果を受け、ドル円は大きく下落することになりました。
通常は20万件~24万件程度で推移する毎週木曜日に発表される統計ですが、今回は26万件以上となったことが要因です。(失業者が増えている)
ジャクソンホール会議以降、物価・雇用が同等のリスクになっていることがマーケットに織り込まれているので、物価は予想通り・労働市場は予想を遥かに上回る数字(ネガティブ)で大きなインパクトがあった状態。
この結果が「利下げ観測が前進」した要因で、25bpはほ確実視されていますが、50bp利下げもあるか?という期待がもしかしたらあったかもしれませんね。
ただこのままこの流れが続くと、スタグフレーション懸念が再び騒がれますので、「リスクオフ」の流れになる可能性があります。
2025年9月1日~9月5日

①(月)レンジ相場
- 米国祝日
- レイバーデイ
- 特に材料なしのレンジ相場
②(火)円安
- 氷見野副総裁&森山裕幹事長の辞意
- 氷:今まで通りの発言内容(利上げ路線)
- 氷:具体的な示唆がなかった(ハト派と捉えられる)
- 森山裕幹事長の辞意
- 日本の政局不安
③(火)ポンド安
- 英財政懸念
- 長期金利が上昇
- 英国トリプル安(債券安、株安、通貨安)
- きっかけで世界の金利が上昇
- フランスの財政状況も浮き彫りに
④(火)ゴールド高
- 金利上昇による世界リスクオフ
- 通貨の信用がなくなる
- ゴールドが最高値更新(3500ドル以上)
⑤(水)ユーロ・ポンド安
- 経済指標
- 仏非製造業PMI:予想49.7 結果49.8(前回49.7)
- 独非製造業PMI:予想50.1 結果49.3(前回50.1)
- 欧非製造業PMI:予想50.7 結果50.5(前回50.7)
- 英非製造業PMI:予想53.6 結果54.2(前回53.6)
⑥(水)ドル安
- 経済指標
- JOLTS求人:予想7378千件 結果7181千件
- 失業者1人に対しての求人数が1以下
- 上記は2010年以来で、失業率が下がる傾向
⑦(木)ドル安→ドル高
- 経済指標
- ADP:予想+6.5万人 結果+5.4万人(前回+10.4万人→+10.6万人)
- 新規失業保険申請件数:予想23.0万件 結果23.7万件(前回22.9万件)
- ISM非製造業景況指数:予想51.0 結果52.0(前回50.1)
- 雇用関係の指標は予想を下回る
- 景気関係の数値は上昇(スタグフレーションが改善か?)
⑧(金)ドル安
- 雇用統計
- 雇用者数:予想7.5万人 結果2.2万人(前回7.3万人→7.9万人)
- 失業率:予想4.3% 結果4.3%(前回4.2%)
- 平均時給(前月比):予想+0.2% 結果0.3%(前回+0.3%)
- 平均時給(前年比):予想+3.7% 結果3.7%(前回+3.9%)
- 148.206円から146.816円まで1.4円ほど下落


2025/9/1~は、大きな変動率はありませんでした。(やや日本円が主要通貨に対して売られた結果)
直近6週間はドル全面高・全面安となった週はなく、週間の騰落はマチマチとなり、為替市場では方向感に乏しい展開が続いています。
今週は、日本の政治情勢・ECB政策金利・米CPI/PPIに注目です。
当該週の為替相場は、世界的な金利上昇が影響し、瞬間的にリスクオフの動き=ドル買いが入ることになりましたが、雇用統計の結果が予想を下回る弱さで、往って来い相場の状況となりました。
ドル円の値幅は2.34円(234pips)となり、現在は147円中盤付近を推移しています。
では今回のメイントピックスである「世界的な金利上昇」「雇用統計」についてまとめていきます。
世界的な金利上昇

英国債が下げ拡大、30年債利回り1998年以来の高水準-ポンド急落
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-02/T1Y986GOYMTC00
火曜日の世界的な債券売り(金利上昇)にて大きく影響したのが、「英国(ポンド)」になります。
英国の財政懸念で長期金利が上昇する流れとなりました。
そして英国は、「トリプル安(債券安、株安、通貨安)」になっています。
英30年債利回りは「5.67%」と1998年以来の高水準となり、英国の厳しい財政見通しが同国債を圧迫し続け、「6%」を超えるだろうと指摘されています。
現在フランスの政局不安にて『国債売り=金利が大幅上昇』している状態で、欧州がやや危ない状況であることに変わりはありません。
直近1週間の英国とフランスの30年債利回りの動きになります。

フランスは政局不安で債券が売られていますが、実は財政状況もよくない状況です。
EUの財政規律(財政赤字の基準)として用いられる考え方は「GDP比の3%以内に抑える」ということです。
イタリアは以前から財政赤字が多い国として知られていましたが、ユーロ圏内で2番目に影響を与えるフランスも以下のように財政赤字が膨らんでいる状態です。

米国も財政赤字の問題などが取り上げられているので、火曜日は債券金利が引っ張られるように上昇し、このような背景から「格付け会社からの格下げ」が見込まれている状況で、世界的にリスクオフが広がったという流れになりました。
世界の国債格付けは、以下のサイトにてわかりやすくまとめてくれています。
https://lets-gold.net/sovereign_rating.php
雇用統計
【結果】
- 雇用者数:予想7.5万人 結果2.2万人(前回7.3万人→7.9万人)
- 失業率:予想4.3% 結果4.3%(前回4.2%)
- 平均時給(前月比):予想+0.2% 結果0.3%(前回+0.3%)
- 平均時給(前年比):予想+3.7% 結果3.7%(前回+3.9%)




労働局長解任から初めての雇用統計だったので注目されていましたが、今回の雇用統計の結果は全体的に弱い結果となりました。
今回の雇用者数は2.2万人で、先月の修正が7.3万人→7.9万人に上方修正されるも、先々月の修正が14.7万人→1.4万人→1.3万人と下方修正も入り、3ヶ月平均の雇用者数は2.9万人となりました。
そして失業率は4.3%に増えており、JOLTS求人数にて「失業者1人に対しての求人数が1以下になるのが、2010年以来のこと」で、このような状況では「失業率」が上がってくると言われていた通りの結果となりました。

ISM指数のコメントでも、トランプ関税を気にして採用を抑制している企業が多くありましたし、現在は「AIによる雇用代替」の指摘も増えています。
20-24歳の失業率が急上昇していて、高学歴の新卒の就職難も報じられています。
AIによる「若年・ホワイトカラー層」の“雇用破壊”、米政治の潮流を変える新たな鍵に
エンジニアや金融、コンサルなど比較的高収入だった職種でも業務の一部がAIで代替されるようになりました。
その結果、採用が鈍っていることを考えると、企業の業績は良いのに、雇用者数が落ち込んで失業率が上昇(AIによる影響)していることは頷ける内容とも言えます。
そして今回の上記の結果を受け、ドル売りに拍車がかかりました。
ドル円は148.206円から146.816円まで、1.4円ほど下落することになりました。
そして今回の雇用統計が悪かったことによって、「利下げ観測が前進」したことで、株価は上昇することになります。
(土曜日時点)FedWatchでは、「25bp利下げが89%」で「50bp利下げが11%」と偏ってきています。
年内利下げ予想はほぼ3回分になっていますね。

リスクバランスにて物価と雇用は同じ程度あるとして、今週のCPIも非常に注目されています。
結果次第では上記の数字に変化が出ますので、引き続き注目です。