本記事では、FXのスワップポイントについて解説します。※2023年12月更新
- スワップポイントとは?
- メリット、デメリット
- オススメの通貨ペア
- オススメの証券会社
多くのブログやYouTubeにて、【より多くのスワップポイントを受け取れるためには、低金利と高金利の通貨ペアを選択する】という表現をされることが大半です。
そこでよく見聞きするのは、
- メキシコペソ/円
- トルコリラ/円
- 南アフリカランド/円
- ハンガリーフォリント/円
など、もちろん間違いではないのですが、果たしてより多くのスワップポイントを貰えるというだけで新興国との通貨ペアを選択しても良いのでしょうか??
今回は本編にて、スワップポイントにおけるメリットやデメリット・通貨ペアの選定方法などを解説しますので、最後までお読みください。
目次
スワップポイントとは?
スワップポイント(スワップ/金利)とは、FX取引において2国間の通貨を売買することによって生じる金利差を指します。
FXにおけるスワップポイントは、為替差益(売買差益)以外の利益を得る方法となり、為替変動リスクはありますがうまく活用することで銀行の定期預金(利息付与)によく似た資金形成とも考えられています。
- 為替差益(キャピタルゲイン):通貨間の売買による差益を得る。短期間で決済。(1日~1週間)
- 金利差益(インカムゲイン):通貨間の金利による差益を得る。中長期間で決済。(数ヶ月~1年間)
一般的にFX投資は『デイトレード』と呼ばれる手法が主流とされており、買ってから売るまでの期間は比較的短いことが特徴で、為替差益(キャピタルゲイン)による利益を積み重ねていきます。
それに対してスワップポイントは、中長期(数ヶ月~1年間)の保有によりコツコツと利益を積み重ねていく手法になり、『ポジション(キャリー)トレード』と呼ばれる手法で金利差益(インカムゲイン)になります。
(2005年頃の円高時に、ドル円/オージー円/キウイ円などを保有すれば、為替差益と金利が稼げるという相場環境でした。)
金利差益(インカムゲイン)とは?
スワップ=金利差益(ポジショントレード)を狙う上で重要な【金利】について解説します。
金利とは、一般的に各国の中央銀行が意思決定する【政策金利】を指します。
*日本では日銀(=日本銀行)です。
取扱通貨国 | 政策金利名 | 政策金利 | 変更幅± | 改正日 |
---|---|---|---|---|
日本 | 日本銀行当座預金のうちの超過準備預金の金利(短期) | -0.1% | - | 2016年1月29日 |
米国 | フェデラルファンド(FF)金利 | 5.25%~5.50% | 0.25% | 2023年7月26日 |
ユーロ | 中銀預金金利 / リファイナンス金利 / 限界貸付金利 | 4.00% / 4.50% / 4.75% | 0.25% | 2023年9月14日 |
英国 | 準備預金金利 | 5.25% | 0.25% | 2023年8月3日 |
豪州 | キャッシュレート | 4.35% | 0.25% | 2023年11月7日 |
NZ | オフィシャル・キャッシュレート | 5.50% | 0.25% | 2023年5月24日 |
カナダ | 翌日物金利 | 5.00% | 0.25% | 2023年7月12日 |
スイス | SNB政策金利 | 1.75% | 0.50% | 2023年6月22日 |
南アフリカ | レポ金利 | 8.25% | 0.50% | 2023年5月25日 |
香港 | ベースレート(基本金利) | 5.75% | 0.25% | 2023年7月27日 |
トルコ | 1週間物レポレート | 40.00% | -0.50% | 2023年11月23日 |
中国 | 最優遇貸出金利1年物 | 3.45% | -0.10% | 2023年8月21日 |
メキシコ | 翌日物銀行間レート | 11.25% | 0.25% | 2023年3月30日 |
ブラジル | Selicターゲットレート | 12.25% | 0.50% | 2023年11月1日 |
日本は2016年よりマイナス金利を導入しており、他国と比較し独自の低金利路線を歩んでいます。
また主要国では、コロナショック以降のインフレ率を抑制するために、各国は政策金利を急激に上昇させインフレ撃退に向けた金融政策を実施しております。
- 景気が悪い:政策金利を下げる=経済活動を活発化
- 景気が良い:政策金利を上げる=好景気を抑制
(2022年/2023年の金利上昇は、インフレ抑制の為に実施)
など、金利を上げ下げすることで景気(経済)の調整を実施します。
*各国の政策金利状況
*2023年10月時点
FXのポジショントレードをする投資家にとっては、通貨ペアの政策金利差によってスワップポイントが決定されますので、【高い金利の国と低い金利の国】の通貨ペアを選定するという考え方になります。
(しかし基本的には、金利が高い国は経済情勢が良くないため、為替レートによる損失が発生するリスクがありますので注意が必要です。)
スワップポイントは稼げる?
*2023年12月5日時点(SBI証券)
結論は、通貨ペアの選定とリスク(注意点)を許容できれば『稼げる手法の一つ』と考えても大丈夫です。
しかしスワップポイントは、一概に政策金利差だけでは決められておりませんが、ご利用する証券会社の設定をご確認ください。
(スワップ金利額は、Risk Free RateやLPのカバーコスト・証券会社の利益などが含まれて決定されます。)
- 1日あたり:+ 220円
- 30日あたり:+ 6,600円
- 365日あたり:+ 80,300円
*auじぶん銀行引用
このように、両国の通貨間でスワップポイントによる利益を見込むことが可能となります。
ただし、各国の経済状況により政策金利が変動すれば、エントリー時に利益を得ていた通貨ペアが、逆に損失を被る通貨ペアに変わってしまう可能性もあります。
つまり、スワップポイントで利益を得るには世界の経済状況も知る必要性があります。
スワップポイントで資産が減り続ける?
FX投資における売買と同じく、スワップポイントには【買いスワップと売りスワップ】があります。
通貨ペアにより、
- プラススワップ
- マイナススワップ
が定められており、こちらも定期的に変動します。
*2023年12月5日時点(SBI証券)
保有し続けることで利益を積み重ねることを目的としたスワップポイントですが、逆にマイナススワップを保有し続ければ、損失が増え続けるので注意が必要です。
大切な資産をスワップポイントで増やすためには、買いまたは売りエントリーのどちらが『プラススワップ』なのか?を確認して下さい。
利益を確定するには?
スワップポイントにより利益を得るためには、エントリーしたポジションの決済が必要になります。
スワップポイントは、ロールオーバーと呼ばれるポジションを保有したまま次の営業日に繰り越すことで発生します。
*SBIFXトレード引用
『営業日』という言葉からも分かるように、ご自身が取引をされている証券会社によってスワップ付与のタイミングが変わってきます。
基本的には日本時間では、
- 夏時間:朝6:00
- 冬時間:朝7:00
また多くの証券会社にて、(日本時間)木曜日の早朝(OPEN時間)に3日分のスワップポイントを付与します。(土日は市場が休場でスワップポイントが付与されないので、木曜日に一括付与するルール)
中長期に渡って保有し続けるスワップポイントにて利益を得る目的とは少し乖離がありますが、決済タイミングの一つとして『木曜日に手仕舞い』する事も良いかと考えられます。
※スワップ付与のタイミングに関しては証券会社に確認して下さい。
ポジションの決済とは?
エントリーしたポジションの決済とは、
- 『為替差による損益』
- 『金利差による損益』
上記を合算した金額を損益として確定させる行為であり、スワップポイントだけの損益を確定する事は出来ません。
ドル円の例
- 為替差益:レート変動による損益
- 金利差益:スワップポイント
売り買いの差額からスワップポイントが加減され、損益が証拠金に反映されています。
(画像内)では、ほぼ同時刻に両建て(売りと買い)のポジションを保有しております。
- エントリー開始:23年7月10日
- 決済:23年9月19日(約2ヵ月保有)
- 為替差益:‐498,700円
- 金利差益:‐185,714円
- 損益:‐684,414
- エントリー開始:23年7月10日
- 決済:23年9月19日(約2ヵ月保有)
- 為替差益:+496,000円
- 金利差益:+124,747円
- 損益:+620,747
上記のトレードから分かるように、スワップポイントだけの決済は出来ませんので、プラススワップだけでなく、保有する通貨ペアの売買・為替レートにも注意が必要です。
今回の例では、ドル円の買いエントリーをしたため、
- 為替差益
- 金利差益
上記ともに利益を得る事ができましたので、かなり良いケースといえます。
つまりポジショントレードで大切なことは、『為替差益』と『金利差益』の双方にて利益を出せるような通貨ペアを選定できることがベストです。
スワップポイントは初心者向けで安全?
『スワップポイントは長期保有するので取引が少なく初心者でも安全』というワードを、ネット検索すると良く見かけます。
しかし、FXはハイリスクハイリターンの金融商品となりますので、為替レートやスワップの変動などでロスカットになり、資産を失う(減ずる)可能性がありますのでご注意くださいませ。
- 通貨ペアの選択
- エントリー(売りまたは買い)
- ポジション長期保有(数ヶ月~1年間)
- ポジション決済
スワップポイントは、あくまでもFX取引の手法の一つで【初心者向け】という訳ではありません。
そして、スワップポイントやFX取引に限らず、投資において『安全という言葉』は存在しないと考えた方が無難です。
おすすめの通貨ペアは?
FXトレードができる通貨ペアは数十種類以上ありますので、ポジション(スワップ)トレードできる通貨ペアも必然的に同じ数だけ存在します。
そこでこの章では、ポジション(スワップ)トレードをする通貨ペアの選定方法、注意事項について解説します。
高金利通貨×低金利通貨
スワップポイントには、高金利通貨として『メキシコ・ペソ』などがオススメという記載もよく見られますが、実際にはどうでしょうか?
高金利通貨はEM通貨(エマージング通貨)と呼ばれ、 中南米、東南アジア、中国、インド、東欧、ロシアなど、成長の初期段階にある国・地域で発行されている通貨を指します。
日本でオススメされている高金利通貨は、
- メキシコ・ペソ
- トルコ・リラ
- 南アフリカ・ランド
- ハンガリーフォリント
などの新興国通貨とされており、一般的に政情不安や地政学リスク・経済不安定に伴う為替変動リスクが高いという特徴があります。
高金利通貨の参考例(2023年12月時点)
高金利通貨と低金利通貨の選定は、たしかにかなり魅力的な利益を狙える可能性があります。
しかし、投資家として為替変動リスクを決して忘れてはいけません。
そこで【為替変動リスク】についても解説します。
為替変動リスク
*トルコリラ/日本円チャート|2011年1月~2023年12月
チャートを確認すると、2015年以降はトルコリラ円の価格は下落トレンドとなっています。
- 2015年:約50円
- 2023年:約5円
- 変動率:▲ 90%
つまり2015年頃より買いエントリーでスワップトレードを開始した場合は、約8年間で為替変動リスクにより証拠金(元金)が90%失っている計算となります。
*メキシコペソ/日本円チャート|2011年1月~2023年12月
チャートを確認すると、(現在レート)2014年頃付近の水準となっております。
- 2015年:約8.3円(高値)
- 2020年:約4.2円(安値)
- 変動率:▲ 50%
極端な例となりますが、2015年頃より買いエントリーでスワップトレードを開始した場合は、約5年間(2020年まで)で為替変動リスクにより証拠金(元金)が50%失っている計算となります。
もし2020年頃の安値圏より買いエントリーを開始した場合は、
- 2020年:約4.2円(安値)
- 2023年:約8.7円(高値)
- 変動率:+ 50%
約3年間で為替変動により、証拠金(元金)が2倍増えている計算となります。
ポジション(スワップ)トレードを実施する上で、とても良い結果の例ですが、為替相場がどのように動いていくか?の予想は出来ても『必ず上昇する』と断言することは出来ない市場です。
為替レート変動により、証拠金(元金)が大きく減じる可能性が高い。
そこで為替市場に2009年から参入している筆者としては、(2023年12月現在)為替市場が安定していない状況の中で【新興国通貨/日本円の通貨ペア】は価格が乱高下する可能性も高く、ポジション(スワップ)トレードには不向きだと考えています。
ポジション(スワップ)トレードは長期間にわたって保有する事が目的なので、リスクの高い高金利通貨よりも比較的ボラティリティが低い通貨ペアを選定するべきだと考えています。
スワップポイントで稼げる通貨ペアは?
*参考元|https://www.fxnav.net/swap/
(2023年12月現在)
筆者のオススメは、
- 日本人に一番馴染みがある
- 通貨流通量|世界の『第一位と第三位』
- 先進国通貨ペア(=経済が安定)
などの理由から、ポジション(スワップ)トレードをするにあたって【米ドル/円】が一番ベストではないかと考えています。
掲載画像を確認して頂いても分かる通り、ドル円の買いエントリーによるプラススワップも新興通貨と比較しても同等程度の金利差益を狙うことが可能なタイミングです。
この要因は複数ありますが直近1~2年程度は、日米の金利差が大きく乖離している状況が続くと見込まれますので、良いのではないでしょうか。
その他にも主要国通貨では、
- ユーロ/円
- ポンド/円
- 豪ドル/円
などの世界5大通貨と呼ばれる通貨ペアの組み合わせもオススメな相場環境だと考えています。
おすすめの証券会社
1.(国内)DMMFX
口座開設:https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=2NV2JJ+CULTTE+1WP2+6EER5
口座開設:https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=3TAVQA+A079RM+1WP2+NX735
(参考記事)
2.(国内)みんなのFX
口座開設URL:https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=35JJ7A+CHIAIA+3ZRU+5ZMCH
(参考記事)
3.(海外)MYFXMarkets
口座開設URL:https://myfxmarkets.com/ja/open-live-forex-account/?ibCode=33007043
(参考記事)
実際にポジション(スワップ)トレードを実施した成果についても公開を考えております。
あとがき|スワップポイントとは?
いかがでしたか?
スワップポイントは、長期保有を目的としたプラススワップを積み重ねて利益を得るFX投資になります。
FX投資の中でも、しっかりとした通貨ペアの選定などの知識があれば低リスクによる運用と考えます。
ぜひ当記事を参考になさって下さい。
今回は、スワップポイントにより利益を得る方法の解説をさせて頂きました。